2011年4月12日火曜日

溜息しか出てこない。

福島原発事故、最悪「レベル7」と発表 チェルノブイリ並み
東日本大震災で被災した東京電力福島第1原子力発電所の事故について、原子力安全・保安院は12日、国際評価尺度(INES)の暫定評価を従来の「レベル5」から、史上最悪の原子力事故とされる旧ソ連のチェルノブイリ原発事故と同じ「レベル7」に引き上げたと発表した。原子炉や使用済み燃料プールの冷却機能が失われ、大量の放射性物質が外部に放出されるという事態が、レベル7の示す「深刻な事故」に相当すると判断した。
 安全保安院と原子力安全委員会は同日午前、共同会見を開き評価内容を公表。福島第1原発から大気中への放射性物質の放出量を保安院は37万テラベクレル、原子力安全委員会は63万テラベクレルになると試算した。INESは外部への放出量がヨウ素131換算で数万テラベクレル以上になるとレベル7と規定しており、この水準に該当すると判断した。
 INESは国際原子力機関(IAEA)などが決めた、0~7まで8段階の原子力事故評価尺度で、レベル7が最悪となる。世界の原発事故でレベル7と評価されたのは、これまでチェルノブイリ原発事故のみ。ただ、保安院は「今回の放射性物質の放出量はチェルノブイリ原発事故の1割程度で、事態はかなり異なる」(西山英彦審議官)との見方を強調した。
 保安院は3月18日に、1~3号機の評価を「事業所外へのリスクを伴う事故」として、米スリーマイル島発電所事故と同じレベル5と暫定評価していた。ただ、INESがレベル7で定める「放射性物質の重大な外部放出」に相当する試算が出されたことに加え、発生から1カ月が過ぎても原子炉の冷却機能の回復という事態の安定化に至っていない事態を重視、レベル7に引き上げた。

住民「いまさら引き上げても」「はらわた煮えくりかえる」怒りと不安

チェルノブイリ原発事故と同等の「レベル7」に国際評価尺度が引き上げられた福島第1原発事故。「いまさら引き上げても」「何かが変わるわけでもない」。前日の政府方針で計画的避難区域に指定され、朝から避難の準備をしていた住民からは、怒りと不安の声が聞かれた。
 福島県飯舘村の会社員、長島光宏さん(26)は「いまさら引き上げても引き上げなくても、まだ事故は収まっていないし、村の放射線量は高いまま。その上、計画避難の話が持ち上がって非常に先が見えない状況に不安を感じる。いつになったら村で安全に住めるようになるのか」と不安を訴えた。
 無職、庄司開さん(61)は「安全だと言い続けてきて今度は想定外と言い続けている。はらわたが煮えくりかえる思いだ。この事故で何百万人もの人に迷惑をかけているのに、今さらごめんなさいでは済まない。2度目の爆発のときからものすごく大変なことになっているというのは分かっていたはず。村は振り回されているし、俺たちも相当被曝(ひばく)していると思う」と怒りをぶちまけた。
 同村の林さい子さん(44)は冷静だ。「引き上げは現実なので、それを受け止めるしかない。レベル7に引き上がったから、何か変わるわけではない。騒いでもどうしようもない」
飯舘村と同様に計画的避難区域に指定された県川俣町の主婦、佐藤寛子さん(38)は「チェルノブイリと同じレベルと聞いても、何が同じなのか分からず、ぴんとこない。政府はもっと丁寧に説明してほしい」と当惑気味に話した。
 福島市の観光関連会社社員、根本隆司さん(55)は「ショックです。世界中の人々が福島とチェルノブイリを同じ目で見るようになり、観光客が誰も来なくなったり、福島県人が差別されたりするのが心配」と不安げな表情を浮かべた。

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